この結末を評価したくない。
作品を通してのメッセージ性としてはこれ以上ない出来だと思いますが、作品内の登場人物に感情移入する僕みたいなオタクだとこれ以上ない最低の出来で、読後感は本当に気持ち悪かったです。
僕は主人公になった気持ちでどの作品も読んでいます。だから物語を通して主人公が成長するのが好きです。この作品はそれをすると死にます。
僕は最初この作品を、現実にいそうな等身大のキャラクターたちが織りなすリアリスティックな物語だと思っていました。ラブコメはどれも大抵そういうもので、今回も例に漏れずそういうもんだと思っていました。特に主人公に対しては年頃の高校生らしい悩みや考えを持っていて、どれも共感できるものだったのですごく親近感を覚えていました。主人公の考え・行動のすべてを理解することができました。途中までは。
これまで現実的な展開を描いていたいもキスが最後の結末を非現実的な展開で締めたことが、最初受け入れられず取り乱しました。意味が分からない、これまで4巻読んできていったい何がしたかったのか分からない、4巻で何度も伝えてきたメッセージはなんだったのか、なによりこれでは登場人物たちが報われない……。彼らたちはいったいなんのためにこれまでいもキスの世界を走り回っていたのか。本当に納得がいかなかったです。
普段エロゲばっかしている僕にとって、最後の結末を辿る前に選択肢が見えました。病院のシーンです。乗り越えるか足を止めるか。進むか止まるか。
”現実にいそうな等身大のキャラクター” だとしたら、どれを選択するかは一目瞭然。僕はリアリスティックな物語だと理解しておきながら、主人公にロマンティックなエンディングを期待していました。
僕は物語を通して成長する主人公が好きです。なぜならカッコよいから。でもその主人公はどれも創作の中のキャラクターで、等身大のキャラクターから一回り大きくなった存在なんですね。
いもキスの主人公は徹頭徹尾等身大の主人公でした。あそこで乗り越えられる主人公は、もう等身大のキャラクターではありません。のりこえられず、あのままずるずるといってしまうなんて、非常に人間臭い。
この作品に対しての心の落としどころは分かりましたが、時雨に関してはまだケリがついていません。諦めきれない。でもどうしようもない。ので、忘れることにしました。本当に報われない。個人的には最後で時雨の主人公のどこが好きかについては後付けだと思っています。
僕の中で忘れられないラノベヒロインは2人いて、それは高坂桐乃と逢坂大河ですが、その中に絶対入れたくない。入らないよう頑張って忘れるよう努めます。