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2次元感想ブログ

9割エロゲについて思ったことを書く薄っぺらい感想ブログです。

BLACK SHEEP TOWN 感想

 

 本当に面白かったです。

 

 ここまで巧みな群像劇は正直見たことが無いです。多くの人物が登場し、彼らの視点で語り合い、それが複雑に絡み合いながら一つに収束していく手腕は流石でした。僕の頭の中では一つの街ができていて、それはこの作品を体験した人なら分かると思います。

 

 瀬戸口廉也先生の作品が好きな人って、勿論文体もあると思いますが、先生の思考に酔いしれていると思います。少なくとも僕はそうで、主人公を通した先生の思考が麻酔みたいな作用で病みつきにしています。

 しかし今作はあまりそういうのを感じませんでした。たしかにこれまでの作品で主人公を飾るようなキャラクターも多数登場していますが、これまでの作品で感じていたモノは無かったです。これまでとは一味違った、新しい瀬戸口廉也の魅力を感じました。それを踏まえて僕は、瀬戸口廉也先生は多才だなぁと薄い感想を抱きました。

 そもそも群像劇ってキャラクターの心情よりもむしろ物語をメタ視点で楽しむものだと思っています。だから、これまでの作品で感じていた先生の思考・価値観は最低限に留まっていて、それよりこの街で起こるごたごたを前面に押し出しているように感じました。

 そして、そうなると全ての登場人物に対して関心が薄くなりました。これは別に悪い意味では無くて、その人物が死んでもそこまで何も思わなくなったということです。この作品を体験して途中からずっと思っていた違和感のタネはこれで、ある特定の人物に妙に肩入れすることなく、すべての人物と出来事に対してフラットになっているからでした。

 本来死ぬべきではない人も沢山死にますし、創作だったら幼馴染同士が最後ぶつかるような展開も無く淡々と人は死にますし、この作品内で起こる出来事はどれも劇的では無かったです。しかしそれをすんなりと受け入れていることが僕の違和感の正体でした。本来出来事なんてものは起こるべくして起こるもので、そこになんのドラマも無いと思います。それを面白おかしく脚色するのが創作なのかもしれません。だからこそクリス・ツェーが起こしたローズ・クラブ襲撃事件はそれとは対称的にとても創作らしくて痛快な印象を受けたのだと思いました。

 

 そして、そんな淡々と進行していく出来事で僕らを魅了してみせた瀬戸口廉也先生の手腕は凄いなぁと思いました。

 

 そして、そんな物語をさらに没入感深めたのは、絵を含む演出と音楽だと思っています。ノベルゲームを構成する要素の全てが超一流だとこんなに面白い作品が出来上がるのかと、今後もこのような作品が出てくれたら嬉しいなと思いました。