プレイ後に何とも言えない何かが胸につっかかるような気持ち悪さがあったのですが、この正体が分かるのにしばらく時間が必要でした。
メルヘンチックな掴みに対して、内容は年頃の女の子達の少し歪な関係を現実的に非情に描いた本作。終始どこか気持ち悪さを孕みながら進んでいきますが、2通りのエンディングを終えてもやはり、気持ちよさや爽快感は無く少しどんよりとしました。
本作の主人公は夕暮鴉と朝野光の2人だと思いますが、彼女らの人間的な弱さが気持ち悪さの原因だと思いました。しかしそれはむしろ人間らしくもあり、同族嫌悪に似た感情に襲われました。印象的なのは鴉が光を助けるシーンで自分の身体を売るところ。虐めっ子に立ち向かうのではなく己の身体を犠牲にして光を助けようとする、何かを変える力は無いが自分はどうなってもかまわないといった鴉の心情が、どうしようもなく弱くゆえにリアルだなと。彼女らの弱さは本作の至るところに表れます。
世界=”2人が虐められている今の環境”を破壊する魔法も、スコップで殴り殺すといった魔法とは程遠い純粋な物理的な行為でした。結局魔法もメルヘンな存在も何も無く、ただ現実が広がっているだけ。
2つあるエンディング。僕は2人で屋上から飛び降りるエンディングがトゥルーだと思っています。弱さゆえに犯した過ちを再び犯して欲しい。彼女らの世界から逃げるのではなく、最後は2人の手でその世界を破壊して欲しいからです。