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2次元感想ブログ

9割エロゲについて思ったことを書く薄っぺらい感想ブログです。

THE BEAUTIFUL WORLD第1部 感想

 

 



 この作品の魅力はテクニカルな構成と個性的なキャラクターの2点だと思います。残念ながら第1部のみではタイトルの ”THE BEAUTIFUL WORLD" について何も書かれていません。しかし巧みな構成力とキャラクターを通して、美しい世界とは如何かを今後繰り広げられていたらいったいどのような物語になっていたのだろうと考えると、この作品が未完であることが残念で堪りません。

 

 僕が ”THE BEAUTIFUL WORLD" をプレイし終わったあとに強く思ったことは、どこか歪なキャラクター達ひいては鳴神玲および如月陽々子を通して語られる美しい世界とは何か、それが見たい。具体的には鳴神玲の歪んだ思想を他のキャラクター達はどう捉えるのか、多角的な意見が知りたい。そう思いました。第1部では鳴神玲の思想に対して干渉するのは如月陽々子しかいません。

 

 そもそも僕は鳴神玲という人物に対してよく分かりませんでした。彼は他人に興味が無さそうな態度を示しつつもコミュニケーションをとります。

 僕が思うに彼は、自分自身の普通の人との違いを認めつつそれに対して無関心です。彼は普通の人に対してのリスペクトは持っています。しかしそれ以上に対しては無関心です。彼は他人に無関心なのではなく自分に対して無関心なのだと思います。

 

 ”THE BEAUTIFUL WORLD" は鳴神玲と如月陽々子の異質さに目を惹かれがちですが、登場人物の大半はどこかおかしいと思います。皮肉なことに何かを論ずるときは相反する事柄を持ち出すことで、その論に対して説得力が増します。美しい世界には似合わない彼らたちをキャスティングしてまで作者は何を語りたかったのか。

 

プレイ直後感想

  • 1章

 面白かったです。面白い作品を書くライターさんは、何気ない日常シーンもどうしてこんなに面白く書けるのだろうと思っていましたが、言葉運びが秀逸なんですよね。フィクションなので、日々の会話シーンもノンフィクションな台詞ではなく、少し芝居がかった台詞の方が面白く感じます。故に、出来事自体はそこまで大きな事は起こっていなくても、キャラクター達の会話だけで面白く感じました。

 勿論それだけでなく、マルチザッピング形式で物語が進むので、2つの物語を交互に味わえます。2つの物語は全く関係ない世界のように見えて、共通のキャラクターを通して1つの世界を共有していることが分かりました。今後これらが明かされるというのも楽しみです。

 1つ目の物語はオカルトチックな感じで凄く先が気になりました。どことなくホラーチックにも感じて、それが相乗して関心へと繋がったのだと思います。

 (1章ではこちらのがメインだと思いますが)2つ目の物語はなんてことない学園モノ(?)でしたが、全く退屈することなく進めることができました。これは魅力的なキャラクターのおかげですね。あと、こういう(個人的に)本格的な謎解きをノベルゲームで味わえるのが楽しかったです。僕はバカで謎が全く分からなかったので、早くも答えに辿り着いた主人公の掌の上だったんだろうなと思いました。ただ日記が盗まれただけの事件だと高を括っていたら、結構えぐい真相があって興奮しました(既プレイ者にしか分からないダブルミーニング)。あと、こういう謎解き系の主人公ってどうしてこんなにカッコいいのでしょうか、僕には無いモノを持っているからでしょうか。

 ちなみにどうでもいいけど、僕は柚憂ちゃんが好きですがわんちゃん主人公とは無いかぁ。……無いかぁ? 来未ちゃんは妹なので俺が守護ります。

 

  • 2章

 面白かったです。主に2人の主人公の視点で交互に語られるマルチザッピング形式で進行する中、1章でそれぞれの視点で登場するキャラクター達が2章では相互に絡みあうことで、この作品全体の各キャラクターの相関関係が浮き彫りになりました。その中には意外な関係性もあり、そういう面でも飽きることなくプレイすることができたと思います。

 

 2章で僕が最も面白いと感じた部分は、徐々に浮き彫りになる第一の主人公、鳴神玲(と陽奈子)の異質さだと思いました。僕はこういう自己肯定感が低く、そしてスマートでクールな主人公に弱いです。

 1章でも鳴神玲の感性のズレは描写されていましたが、2章ではそれがさらに濃密に描かれていたと感じました。

 この作品、いわゆるミステリーものだと思いますが、事件の犯人が誰かについては割と序盤で感づくと思います。むしろ犯人の意外性でいったら1章のほうが分からなかったです。

 こういう、ミステリーものでありながら犯人についてはあっさり分かるというシナリオ構成、僕の中ではCARNIVALを彷彿とさせました。主人公のダークさも似てますしね。

 この作品はミステリーものでありながらも作品のキモに犯人の正体を置いていない、むしろそれを中心としたキャラクター達の人間ドラマ、ひいては主人公の異常な感性。そこが僕にとっては魅力に映りました。

 

  • 3章

 面白かったです。2章の時点で犯人については目星をつけていたので、ミステリーものとしては高を括っていましたが、最後に衝撃の事実が明かされて放心してしまいました。

 僕はこのゲームを、ミステリーを軸に錯綜するキャラクター達の心情を描いた性格劇のようなものだと捉えていました。その解釈は間違ってはいないと思いますが、軸となるミステリーも面白かったです。ミステリーにもネタがありました。

 3章では主人公の異常さが如実に描かれていたと思います。僕は、主人公鳴神玲が醸し出す独自の雰囲気・世界に酔いしれてしまいました。

 

 また3章でわくわくしたのは、これらと含めて第2の主人公・櫻坂総が鳴神玲と接触したことです。知的な鳴神に、年上でさらに知的そうな櫻坂。知的VS知的の衝突が楽しみです。

 2人の主人公によるマルチザッピング形式を採用し、2つの視点からキャラクターを見ることでそれぞれが持つ2つの面を描きながらも、点と点が線で結ばる相関関係。それに断章を用いて各キャラクター視点を挟むことで、多角的な視点から ”THE BEAUTIFUL WORLD” を捉える、この作品の構成が完成度が高く、何よりも面白くまた惹きつけられる要因になったのではと思いました。